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11/2(水)、新国立劇場にて母と見てきました。
岸田戯曲賞の岸田國士(「くにお」と読むのを初めて知りました)氏の作品、
「屋上庭園」と「動員挿話」という短編二本同時上演で、初演は共に大正期です。
とにかくどちらも面白くて、とても良かったです。
当日券には学生割引きが適用されて、通常4200円の所を2100円で見られました。
小演劇見られるくらいの値段で、あの舞台が見られるのはかなりお得に感じました。
(母と二人で行ったので、母が払ってくれたから…といのも少しは有りつつ)
岸田氏の作品を見るのは初めてで、…というか大正~昭和初期の日本の戯曲自体にふれた事がなく、
実際なかなか見る事が出来ないのが現状だそうなので、非常に良い経験になりました。
時間は前者が35分程度、後者が1時間程度となっており、
途中に10分の休憩を挟んでも時2時間ないので集中できました。

こちらまだ公演中ですので、ネタばれが嫌な方はこの先読まないで頂ければと思います。

簡単な粗筋から載せておきますね。
「屋上庭園」
デパートの屋上庭園で久しぶりに出会った旧友の並木と三輪。
互いに細君を買い物に行かせ、二人で近況を語り合うが、
夢に敗れ貧困生活を送る並木は、裕福な三輪に対し昔とは違う卑屈な態度を取る。
ぎこちなくなる会話の後、並木は三輪に金を貸してくれと頼むが…

「動員挿話」
明治37年、日露戦争に向かう陸軍少佐の宇治は、
家の馬丁の友吉を連れて行こうとするが、友吉の妻数代が断固それに反対する。
少佐との主従の縁と、世間体と、夫婦の愛に板挟みにされながら
友吉は戦地に赴く決意をするが…

↑このくらいはパンフレット、チラシを読めば載ってるのですが一応。

とにかく一番印象に残ったのは舞台装置ですね!
土台は通常の新国立劇場小劇場の舞台から前に張り出して、少し上側が前に出ています。
奥になるにつれて高くなっているらしい、傾斜したつくりになっています。
装置はあまりなく、ベンチが一脚→馬の形のパネルが一つ。
それから空と、町並みが描かれた黒いパネル(はけ口つき)が吊られています。
これは後になってから分かるのですが、黒板なんですね!
まず屋上庭園では、そこから見える風景としての町並みが描かれていまして、
其の後の動員挿話では、芝居が始まるとまずその町並みを役者の1人青年兵士が必死に消して
一心不乱に白と赤のチョークで日の丸の旗を描き始めます。
その日の丸は、黒板一杯に広がり、シーンが進み陸軍少佐の登場時にも少佐によって描かれます。
…この使い方が面白い!
少佐が出征し、少佐の細君がそれを送った後…という設定のシーンでは
下手側の日の丸(少佐が書いた方)の赤い円を、細君が無表情でひたすら消すという動作がありました。
両の手のひらで、チョークを擦って消すのですが、
最終的には手が赤いチョークで真っ赤になって、細君はなんとも言えない風に笑うのです。
戦争に行くもの気持ちと、それを見送るものの気持ちを表している…のじゃないかなと私は思いました。

音響効果はないに等しく、セミの声が時たま流れたりするのですが、
その静寂を足りないと感じさせないだけの演技を見る事が出来ました。
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